従来の中学受験では、国語・算数・理科・社会の4教科が標準とされてきました。しかし現在、多くの学校において英語の導入が検討、そして実施が始まっており、今後ますますその必要性が高まっていくことが考えられます。
今回はそんな中学受験における英語入試の実情や、どのように対策していくのが良いのかについてご紹介していきます。
中学受験で英語の導入が進む
従来のカリキュラムでは、英語学習は中学以降に行うとされてきたため、中学受験に導入されるケースは稀でした。しかし、最近では小学校でも英語を学習することが定着してきたこともあり、中学入試にも英語は積極的に取り入れられるようになってきているのです。
導入校は首都圏で100校を超える
記事によると、首都圏に約300ある私立中学のうち、2019年には125校において何らかの形で英語受験が導入されたということです。
参考:NEWSポストセブン「中学受験 「英語を加えた5教科化」が現実的ではない理由」
グローバル教育という言葉も耳にするようになりましたが、英語受験の導入には、英語が標準的になった世界で通用する人間を育てていきたいという、学校側の意思表示であるともいえるでしょう。
受験によって、あらかじめ基礎的な英語レベルを備えた生徒であれば、より高いレベルの英語教育を学校で提供することができます。小学生に5教科もの受験科目を迫ることはやや負担が大きいという声もありますが、これからの時代に英語は欠かせないという判断が、教育の現場では一般的になっています。
大学入試改革の影響を受けているという話も
受験制度が変化の時を迎えているのは、中学受験に限った話ではありません。最近もセンター入試の制度改革が話題になったように、日本ではあらゆる教育機関において、学生に求める学力のあり方を大きく見直そうという動きが広まっています。
その際にポイントとなるのが、やはり英語受験のあり方です。従来のように長文読解や単語の意味、文法の理解度を問う問題だけでなく、TOEICやTOEFLを導入し、海外の大学受験やビジネスで使える実践的な英語力が養われているかを見ようという話も盛んに行われています。
遅かれ早かれ、子供達はいずれしっかりと英語を学ばなければならない環境になっていることは確かでしょう。
中学受験ではどのような英語試験が行われているのか
中学受験で採用されている英語科目の試験は、学校によってバリエーションが様々です。一番多いのはやはり筆記試験ですが、学校によってはリスニングやスピーキング、英会話ができるかどうかをインタビュー形式で行うなど、とにかくコミュニケーション能力を要求するところもあります。
英語は筆記だけでは役に立たないという話は、高校受験や大学受験の改革の中で常に議論されてきた話題です。これから英語入試を採用していくという中学校も、そういった議論を前提として進めていくため、筆記試験対策だけでは不十分となることが考えられます。
英会話能力を育てるメリットは中学受験にも
ただ、英語受験とはいっても高校・大学受験ほど高度な英語能力を求められる訳ではありません。
これから文法や単語といった基礎的な言語教育を受けたり、より実践的なコミュニケーション能力を磨いていくために必要なスキルを問うことが目的ですので、英語に慣れ親しめられる土壌が養われているかどうかに重点が置かれるケースが多いです。
また、英語のコミュニケーション能力を重視する傾向も踏まえると、英会話教室のような場所で、しっかりと英語で意思疎通を図ることのできる能力と「慣れ」を養い、英語に親しみを覚え、面接会場や慣れない場所でも緊張してしまわない素養を身につけることも肝心になります。
基本的な英会話能力を幼少期から身につけておくことで、受験でそこまで重視されることはなくとも、中学校入学以降の英語学習のスピードは、大きく加速することになります。中学受験で英語の試験が採用されるようになったことは、そのきっかけを子どもたちに与えるためと考えることもできるかもしれません。
おわりに
4科目というただでさえ負担のかかるところに、新たに科目が増えてしまうというのは気が重くなる話ではありますが、英語はいずれしっかりと学ばなければいけない必須のスキルです。
どうせ学ぶということであれば、吸収能力の高い幼少のうちから学習を進めていく方が効率的とも言えるでしょう。