2020年はプログラミング学習導入年。教育界からは「世界ではすでにプログラミング教育が進んでいる」、「将来のためにプログラミング・スキルを身につけるべき」、という情報が発信されてきました。
しかし、プログラミング学習は子どもたちの将来にどのように役立ち、仕事においてどのように武器になるか、という点は明確な情報発信がなされていないことも多いのが現状です。
今回の記事では、プログラミングを学ぶ意義について発展的な観点からご紹介したいと思います。
プログラミング必修化=論理的思考を育む
プログラミングの学習は、義務教育の教科に取り入れられるようになりました。プログラミング教育はコードを構築するためのプログラミング言語を習得するだけではなく、プログラミング的な思考を育むことを目的としています。
ここでいうプログラミング的な思考とは、筋道立てて物事を整理しつつ思考すること、つまり論理的思考を意味しています。
実際の小学校のカリキュラムについて、一例を見てみましょう。
算数:割り算でアルゴリズムを学び、スクラッチで作図する
割り算を学習する際に、筆算におけるアルゴリズムを学び、高学年では実際の開発現場でもよく用いられている「スクラッチ」で図形やグラフの作図をする、といったような算数とプログラミングの導入を組み合わせたカリキュラムがよくおこなわれています。
国語:起承転結を理解し、アプリ上で物語を作る
物語のはじめとおわりが決められた状態から、アプリを使ってその間の話を自由に作り、お話に合致する絵を動かすという事例がみられます。
プログラミング教育以前にも、物語の後日譚を創作するような学習指導内容はよくみられていましたが、今後は絵をつけるなどさらに発展的な内容になっていくのかもしれませんね。
社会:都道府県のブロックを組み合わせ地図を完成させる
社会の授業では、各都道府県の特徴をサーチ項目に設定し、条件に合致する都道府県のブロックを探すなどといった授業が想定されています。
例えば、「海に接している」という条件だけでは多くの都道府県が該当してしまいますが、ここから地方名や隣り合う都道府県数などで絞り込んでいき、正しいブロックを見つける、といったやり方です。
中学・高校の基礎となる知識の習得にプログラミング的思考が求められる
小学校の勉強は、理解不足のまま通り過ぎると中学・高校へと進学した時に困ることになります。
このままプログラミング的思考を育むためのカリキュラム作りが進んでいけば、日本の学びのあり方が従来とは大きく変わってくることも充分予想できます。
こうした変化に適応するためにプログラミングを習うことは重要なのです。なお、プログラミングには英語を用いるため、一緒に英語も習得できるという利点もあります。
プログラミング的思考ができるか否かで、将来の選択肢が変わる
現代の子どもたちが将来働く時にも、プログラミング的な思考を身につけているかいないかで、大きく選択肢が変わってくると考えられています。
この傾向は、特に世界を舞台にグローバルな活躍をしたいと望む場合、顕著になります。
諸外国の多くは日本よりもプログラミング学習の歴史が長く、プログラミン的思考も浸透しています。施設やカリキュラムも充実しており、すでに学習とパソコンやアプリが密接に結びついているのです。
こうした人材がリードしていく未来の世界は、このままデジタル化が進んでいき、さらにデジタルツールやデジタル的な考え方が一般的になっていくと想定されます。そのような社会で選択肢を多くもつためには、やはりプログラミングに親しむことが必須となってくるでしょう。
国内でもコロナによってテレワークやオンライン化が進む?
はんこ文化が残っていたり紙ベースで管理する書類が多かったりと、比較的デジタル化が遅い日本ですが、コロナ禍によりその状況には変化がみられます。
2019年冬から2020年春にかけてテレワーク導入企業のパーセンテージが急上昇し、私立学校の一部そして大学の多くで、オンライン授業の整備が急ピッチで進められています。
注目したいのは、テレワークが感染予防の一時的措置ではなくBCP(事業継続計画)として提唱されていることです。つまり、テレワーク導入は一時しのぎではなく、働き方の多様化や災害発生時などに対応するためとして恒常化する企業も増えていく可能性が高いといえます。
次世代の働き方に対応するためには、子どものうちから時代に即した学習にふれておくべきでしょう。
まとめ:小学生からのプログラミング学習。将来役立つこと間違いなし
プログラミングを学ぶことと、プログラマーになることは「=」ではありません。プログラミング学習の目的は、プログラミング言語を通して「論理的思考」という普遍的な思考方法を習得することにあります。
遊びながら学べるうちから、プログラミング的な思考を身につけていきましょう。