2020年4月より、小学校でプログラミング教育が必修となります。そもそも「プログラミング」というものに馴染みがない人にとっては、なぜ小学校からプログラミングを学ばなければならないのか、疑問なのではないでしょうか。
そこで今回は、プログラミングがなぜ必修化されたのか、そして小学校ではどのような形でプログラミング教育がされるのかをご紹介していきます。
プログラミングが必修化された背景
IT業界で働いていたりしない限り、プログラミングがどんなものかわからない人も多いでしょう。生活の中で、プログラミングなんて必要ないように思いますよね。
ですから、小学生のうちからプログラミングを習うのには、意味がないと考える人も多いはずです。
ではなぜ、小学校からプログラミング教育が必修化されたのでしょうか。それは私たちの生活が、コンピュータなしでは成り立たなくなってきていることに関係しています。
パソコンがなければ業務を行えないという人は少なくないでしょう。またスマホを持っている人は大多数ですよね。そして、普段は意識していないものの、私たちの生活に関わるさまざまなことが、コンピュータで制御されています。
これからもその傾向はどんどん強まっていくでしょう。そんな中、コンピュータに強い人材が求められているのです。
そうした社会的な動きから、小学校だけではなく、中学校・高校でもプログラミン教育を必修化する運びとなったのです。
ちなみに中学校では2021年度から、高校生は2022年度の高校1年生からプログラミング学習をすることになります。
小学校でのプログラミング教育のねらい
前述のとおり、これからの社会ではコンピュータに強い人材が今まで以上に求められると予測されます。ですから、小学校のうちからコンピュータに親しんでおけば、自然とコンピュータで制御されるような社会に溶け込める力をつけることになります。
将来どんな職業に就くとしても、コンピュータについて理解して、それを使いこなす力をつけることは、これからの世代にとってとても重要です。
文部科学省では、小学校プログラミング教育のねらいを、次のように説明しています。
・プログラミング的思考を育む
・情報社会がコンピュータなどの情報技術に支えられていることに気づく
・コンピュータ等を活用して、よりよい社会を築いていこうとする態度を育む
つまり、プログラミング教育を必修化することで、プログラミング言語を習得したり、プログラミングができるようになったりすることを目指しているわけではありません。
その基礎となる、プログラミングがどういうもので、どう活用され、それがどう社会に貢献しているかということを理解するのが狙いなのです。
プログラミング必修化で何を学ぶことになるのか
では、小学校のプログラミング教育では、具体的にどのようなことが子供たちに教えられるのでしょうか。
小学校段階では、プログラミング言語をしっかり習得するような教育ではなく、プログラミングの正体を理解する教育がメインとなります。
コンピュータがプログラムで動いているということや、そのプログラムは人が作成しているということ。そして、コンピュータにできることやできないこと、コンピュータが日常生活でどのように使われ、私たちの生活を助けてくれているのかといったような気づきを得るのが、小学校でのプログラミング教育です。
そして、コンピュータに慣れ親しむだけではなく、プログラミング教育を通して「論理的思考」と「問題解決能力」を育むことも狙いとなっています。
論理的思考とは、例えば、望む結果を得るために何が必要で、その必要なものをどう組み合わせれば、そのゴールに到達するか……といった道筋を考えられる力のことです。
そしてその論理的思考を使って、今ある問題は何なのか、それを解決するためには何が必要で、どうすればいいのか……といった問題解決能力を身につけるのが、小学校でのプログラミング教育です。
「プログラミング的思考」というと、よくイメージができないかもしれませんが、こうした思考が「プログラミング的思考」というわけなのです。
もちろん実際のプログラミングでも、こうした「プログラミング的思考」はもちろん必要です。しかし、プログラミングとは関係のない私たちの生活=現代社会の中でも、こうしたプログラミング的思考は、とても重要なはずです。
つまり、プログラミング教育の必修化は、子供たちに現代社会を生き抜くための力を身につけさせるためのものだと言えるでしょう。
まとめ
「プログラミング必修化」と言っても、小学生のうちは本格的なプログラミングをするわけではありません。文中のとおり、これからコンピュータが主役となりそうな社会に溶け込み、生き抜くための力の土台を作るのが目的となっているからです。
とは言え、これから中学・高校でもプログラミング教育が必修となりますし、小学校のうちから少し本格的なプログラミングに慣れ親しんでおくことは、その後のプログラミング教育にも大いに役立つはずです。
どんなカリキュラムが組まれても、すんなりと理解し、授業についていける環境を作るためにも、お子さんへのプログラミング教育は重要なのではないでしょうか。